ゲームシステム
ドラクエシリーズのゲームシステムも参照のこと。
□自由度
前作はほとんどストーリーの流れに沿った順番でしかゲームを進行できなかった。
しかし、前作より自由度の高かった『ドラゴンクエスト』・『II』を『ドラゴンクエストI・II』としてリメイクしたことをきっかけに、本作でも自由度を大切にするというコンセプトで作ることになったという。物語中盤以降は次の目的地が明確に示されず、行動できる範囲をさ迷ううちに新しい“発見”ができるという構造となっている。
特に海底に行く手段を得た後は、どの順番でもシナリオを攻略できるようになっている。
□移動画面
城や町、ダンジョンなどのグラフィックが前作と比べてリアル化した。
キャラクター移動に関しても、町やダンジョンの中では移動スピードが前作までの倍になり、パーティーの先頭キャラクターが画面の中央に固定されなくなる、扉は対応する鍵を持っていれば自動的に開けられるようになるなどの点が変更されている。
『ドラゴンクエストIV』や『V』と同様に馬車システムが登場したが、『IV』や『V』と違い、本作では馬車が入れないダンジョンでも、移動中であれば、馬車で待機しているキャラクターの呪文・アイテムをいつでも使うことができる。
本作からは井戸を調べることで井戸の内部に入れるようになった。
どの井戸でも入ることができ、時にはストーリーを進める上で重要な場所になることもあるが、井戸を調べたときに「いどまじん」などのトラップモンスターが出現することもある。
本作ではイベント内で夜のシーンになることはあるが、シナリオの複雑さの関係上、『ドラゴンクエストIII』から『V』までのようなフィールド上を歩くことで昼から夜に時間が移り変わるというシステムは廃止された。
- ふくろ
- 従来の作品に存在した「預かり所」に代わり、アイテムを何種類でも保管し持ち歩くことができる「ふくろ」(大きなふくろ)が初登場した。移動中には必要なときにアイテムを出し入れでき、装備品以外の持ち物を一度にふくろに入れるコマンドも登場した。戦闘中はふくろを使用できず、本作では移動中であってもふくろの中の道具を直接使用できないので、使うアイテムはふくろから出しておく必要がある。「ふくろ」の登場に伴い、従来の作品の「預かり所」はアイテムを預ける機能が不要となったため、ゴールド(貨幣)のみを預ける「ゴールド銀行」となった。
- 会話の記憶
- 重要な話のメモの手間の軽減を図るため、会話の直後にボタンを押すことによって町の人が話したことを記憶し、必要なときに主人公の特技「おもいだす」で記憶した会話内容を閲覧できるシステムが導入された。主人公のレベルが上がると、思い出せるメッセージの量の増加、不要なメッセージの削除もできるようになる。ゲーム中でも、謎を解くのにこのシステムを活かせる場面が用意されている。DS版では削除された。
- 世界地図
- フィールドの世界地図に新機能が搭載された(ただし下の世界の「ふしぎなちず」のみ)。今までに行ったことのがない場所はグレー一色で表示され、訪れるとそのエリアに色が付く。これによりまだ訪れていない場所が一目で分かるようになった。
□乗り物
馬車を除くと6種類の乗り物が登場し、中には「ひょうたん島」や「空飛ぶベッド」のような風変わりなものもある。
また、「あわあわ船」により、ドラゴンクエストシリーズで初めて海底の冒険が可能になった。
- 神の船
- 下の世界で登場。乗り込むことにより、水上を移動する。ただし、プレイヤーが自由に利用できるようになるのは、ムドーを倒してからである。
- 動く島(ひょうたん島)
- 上の世界で登場。水上を動くひょうたん型の島。乗り込むことにより水上を移動する。航海中にBボタンを押すと島の上を歩くことができ、宿屋に泊まることもできる。
- 空飛ぶベッド
- 上の世界で登場。乗り込むことにより平坦な地形の上を低空飛行する。持ち運びはできない。
- あわあわ船
- 下の世界で神の船乗船中に「マーメイドハープ」を使うことにより、船を泡に包み、海中に潜る。これによって浅瀬や橋の下を通ることもできる。
- 魔法のじゅうたん
- アイテム「まほうのじゅうたん」を使うことにより、平坦な地形の上を低空飛行する。空飛ぶベッドと違い、アイテムとして持ち運べるため、上の世界・下の世界で使用可能。
- ペガサス
- 馬車で陸上を移動中に「てんまのたづな」を使うことにより、馬車の馬が翼で空を飛ぶ。上の世界・下の世界の上空を飛行可能であるほか、重要な特殊能力を持っている。
□プレイヤーキャラクター
前作と同様、プレイヤーキャラクターには人間のキャラクターと仲間モンスターが存在する。
人間のキャラクターはシナリオの進行にしたがって増加していくが、中にはアモス(後述)のように、プレイヤーの行動によっては仲間にすることのできないキャラクターも存在する。
前作と異なり、一度パーティーに加わった人間キャラクターはそれ以降、エンディングまで別れる(パーティーに加えられなくなる)ことは無い。物語中盤以降は、町にある施設「ルイーダの酒場」で、主人公とバーバラを除くキャラクターを自由に入れ替えることができるようになる。本作のルイーダの酒場は人間のキャラクター・仲間モンスター共通となっている。
また本作では、「命名神マリナンに仕える神官」に会うことにより、キャラクターや「ふくろ」の名前をゲームの途中で変更することができる。
ただし、すでに使われている名前(まだ仲間にしていないキャラクター・モンスターや重要人物も含む)に変更することはできない。また、不適切な名前(罵倒するような名前、同じ文字を4つ並べた名前や下ネタ)にしようとすると神官から警告を受け、それにも従わず命名すると、再度名前を変更する際に5000ゴールドが必要となる。
ステータスには「かっこよさ」が初登場し、その高さを競うイベント「ベストドレッサーコンテスト」(後述)も登場した。代わりに「うんのよさ」のステータスが廃止された。
「かっこよさ」は容姿の端麗なキャラクターやかわいいモンスターほど数値が高く、武骨な外見のキャラクターや醜悪なモンスターなどは数値が低い。主に装備している武器・防具によって上下させることができる。武器・防具を磨いて「かっこよさ」を上昇させる「おしゃれな鍛冶屋」も存在する。
□仲間モンスター
前作同様、一部のモンスターは戦闘勝利後にプレイヤーの判断で仲間にすることができる。ただし、本作では「まものつかい」の職業の者が戦闘に参加していなければ、モンスターが戦闘後に起き上がることはない。また、特定の出現場所でしか仲間に出来ないモンスターも存在する。
本作では仲間モンスターも人間のキャラクターと同様、転職が可能である。パーティーに加えられるモンスターの種類は18種、数はルイーダの店に預けられたモンスターを含め15匹(イベントで仲間になるモンスターを除く)までと、前作に比べ規模が縮小された。
DS版では戦闘によってモンスターを仲間にするシステムは廃止された。代わりにマップ上にいるスライムが仲間になる。
□職業・転職
本作の各プレイヤーキャラクターには「職業」が設定されている。
ゲーム序盤は何の職業にも就いていない状態だが、中盤以降では転職によって新たな職に就いて戦闘経験を重ねることで、さまざまな呪文・特技を習得できる。
職業は、条件なしで転職できる基本職9種と、一定条件を満たすことで転職できる上級職9種の合計18種がある。上級職のうち6種は特定のいくつかの基本職をマスターすることで転職でき、勇者は特定の4つの上級職のうち、主人公はいずれか1つ、他キャラクターはその全てをマスターすることで転職できる。残りの2種は隠し職業といわれ、「さとり」を入手することで転職できる。
前作から登場した「特技」が本作では格段に増え、特定の職業で経験を積むことによって人間・モンスターに関係なくさまざまな呪文・特技を覚えることができるようになった。
「転職」は『ドラゴンクエストIII』でも登場しているが、『III』ではまず職業ありきで能力値とその成長が規定されるのに対し、今作ではキャラクターのHPやMPなどの能力値を無職での値を基準に規定の倍率で変化させるものとなっており、装備可能なアイテムが変化したり、レベルが1に戻ったりすることはないなど、システムとしては別物である。
前の職業で覚えた呪文・特技を忘れることはないが、盗賊の「アイテムを盗む」などの職業の特性は失われる。
従来作品から存在するキャラクターのレベルや経験値とは別に、職業ごとの「熟練度」があり、戦闘回数をこなすことによって上昇する。そして熟練度が一定値に達すると「職業レベル」が上昇するとともに新たな呪文・特技を習得し、上級職では特殊な能力が備わることもある。
職業レベルは職業ごとの独特の呼称および★の数で表され(ステータス画面で確認可能)、8になるとその職業をマスターしたことになる。明らかに自分たちより弱いモンスターしか出現しない場所での戦闘は戦闘回数にカウントされないが、ゲームに登場する全ダンジョンのうちおよそ半分(ゲーム後半で登場するダンジョン)は、たとえ最高レベル(99)であっても熟練度を上げることができる。一度その職業をやめても、その時点までの職業経験はそのまま残る。
キャラクターの元々のステータスの傾向と照らし合わせ、同じ職業でも向き不向きが存在する。
このため、転職が必ずしもキャラクターの個性を変えるものではなく、キャラクターに見合った職にしないとステータスの補正に苦労する場合がある。
- 無職
- 「職業に就かない」という選択も可能。一度何らかの職に就いたとしても、元の無職の状態に戻ることができる。職業特有の呪文や特技を覚えることはできないが、ステータス的に有利な場合もある。
■基本職
- 戦士
- 剣術系特技を覚える。
- 武闘家
- 格闘系の特技を覚えるほか、真空系特技の「かまいたち」を覚える。他の職業よりも会心の一撃が出やすい。
- 魔法使い
- 攻撃呪文(初級・中級)や補助呪文を覚える。
- 僧侶
- 真空系・即死系攻撃呪文や補助呪文、回復呪文を覚える。
- 踊り子
- さまざまな踊り系の特技を覚えるほか、打撃攻撃による回避率が上昇する。
- 盗賊
- 戦闘後に宝物を盗めるようになる。移動に便利な呪文、特技を覚える。
- 魔物使い
- 戦闘後に一部のモンスターを仲間に加えることができる。ブレス系特技を中心に覚える。DS版では魔物マスターという名称に変更され、魔物を仲間にする能力を持たなくなった。
- 商人
- 戦闘後に追加ゴールドを得ることができる。道具や宝箱を鑑定する呪文「インパス」を覚える。
- 遊び人
- 戦闘中に勝手に遊んでしまうことがある。相手の技をまねして反撃する「まねまね」やモンスターを呼び寄せる「くちぶえ」など、変わった特技を覚える。
■上級職
- バトルマスター
- 戦士と武闘家をマスターすると転職可。主に物理攻撃系の特技を覚える。戦闘中、敵の攻撃を打ち払って回避することがあり、その率は職業レベルに応じて上昇する。
- 魔法戦士
- 戦士と魔法使いをマスターすると転職可。属性付き剣技を中心に覚え、最終的に高威力の単体攻撃「メラゾーマ」を覚える。
- パラディン
- 武闘家と僧侶をマスターすると転職可。真空・自己犠牲系などの呪文・特技を覚え、ステータスも下降値が存在せず勇者と遜色ない。打撃攻撃で敵を即死させることがあり、その確率は職業レベルに応じる。
- 賢者
- 魔法使いと僧侶をマスターすると転職可。最上級攻撃呪文や補助呪文、回復呪文を覚え、精霊の召喚もできるようになる。呪文・特技の消費MPが職業レベルに応じて減少し、マスターすると半分になる(全MPを消費する「マダンテ」「メガザル」を除く)。
- レンジャー
- 盗賊・魔物使い・商人をマスターすると転職可。自然を利用した特技を覚える。特技はMPを消費しないものばかりだが、失敗する可能性もある。「にげる」の成功率が職業レベルに応じて上昇する。
- スーパースター
- 踊り子と遊び人をマスターすると転職可。効果の大きい踊り系特技を覚える。時々敵が見とれて1ターン休みになることがあり、職業レベルが上がるに連れてその確率が高くなる。
- 勇者
- 極限の職業。主人公はバトルマスター・賢者・レンジャー・スーパースターのうちどれか1つをマスターすると転職可。ほかのキャラクターはこれらの4職業を全てマスターすると転職可。強力な呪文・特技等を覚える。戦闘中HPが自動的に回復するようになり、回復量は職業レベルに応じる。無職時と比べて全能力要素が同じか優れているため、全能力要素が最大まで成長したとしても無職よりも勇者の方が常に優れている。
■隠し職業
- ドラゴン
- 「ドラゴンのさとり」を持っていると転職可。炎や氷のブレスを覚える。職業レベルが上がると、敵が「驚き戸惑う」ことで味方パーティーが先制攻撃できる確率が上昇する。
- はぐれメタル
- 「はぐれのさとり」を持っていると転職可。ただし、入手方法の関係上、クリア後にならないと転職不可能。MPを消費する強力な特技を覚える。熟練するとモンスターのはぐれメタルと同じく呪文・特技を全く受け付けなくなる。
□戦闘
戦闘画面は前作ではウィンドウ内にモンスターが表示されていたが、本作では画面全体が背景付きの戦闘専用の画面に移行する形式となり、ほとんどの敵モンスターが行動時にアニメーションをするようになった(ただし最終ボス以外は効果音を伴わない)。また、各キャラクターごとの個別コマンドが「こうげき・じゅもん・とくぎ・どうぐ・そうび・ぼうぎょ」の6つとなった。
戦闘に参加できる最大人数は4人。作戦は、本作から「じゅもんせつやく」が廃止され、新作戦「おれにまかせろ」が登場。これは、敵への攻撃を主人公中心とし、ほかのキャラクターは主人公のサポートに徹する作戦と説明されており、おもに敵の行動を妨害することで主人公を援護する。
また本作では戦闘中にリアルタイムでAIが行動を決めるようになったため、すばやさが遅いキャラクターが有利になる面もある。AI自体も敵の弱点やHPを最初から見破り、有効かつ最大の攻撃のみを選択するようにプログラムされているため、プレーヤー操作よりも効率よくキャラクターが行動することもある反面、攻撃パターンが機械的になりがちである。
ただし、本作のボスキャラクターの中には、仲間のAIの能力を上回る判断をするものも存在する。
戦闘終了後、フィールドのBGMは最初に戻らず、戦闘に入る直前の箇所から流れるように変更された(ムーアの城は例外)。
以後の作品でも、ゲームボーイ版作品とニンテンドーDS版『IV』以外は同様の仕様となる。
□サブゲーム・コレクション
- ベストドレッサーコンテスト
- 「かっこよさ」を競うコンテスト。8つのランクがあり、最初はランク1からの挑戦となる。コンテストで1等賞を取れば賞品を獲得でき、ひとつ上のランクのコンテストに挑戦できる。ランクによっては、男性限定・女性限定やモンスター限定のランクもある。上のランクになるほどクリアに必要な「かっこよさ」の値は上昇していく。また、同じ種類の武器・防具を揃えるなど、コーディネイトによってはボーナスポイントが評価点にプラスされる場合もある[16]。主催はカルバン・ジャンポルテという富豪。ランク3の賞品は、入手しないとストーリーを進めることができないキーアイテムである。
- スライム格闘場
- スライム系の仲間モンスターを参加させることができる格闘場。オーナーはスラッジという老人。各ランクで優勝すれば賞品がもらえる。参加するスライムは1匹で戦い、3連戦勝ち抜きで優勝(ランクHでは3連戦とチャンプ戦に勝てば優勝)となる。格闘場での戦闘中の指示はできず、一定ターンが経過すると疲れ果てて強制敗北となる。「ランクA」が最も弱く「ランクH」が最も強いランクとなっており、「ランクH」以外は2度優勝するまで挑戦することができるが、2度目の挑戦では開始時のHPとMPが半分となるハンデがつく。
- カジノ
- 専用のコインを購入し、それを使ってミニゲームに挑戦し、獲得したコインを景品に交換できる。本作ではポーカーとスロットマシンの2ゲーム。スロットマシンではリーチアクションやボーナスゲームが追加されている。本作からは複数の場所にカジノが存在するようになり、場所によってスロットマシンの台数やレート、ポーカーでのダブルアップのルール、景品が異なる。
- ちいさなメダル
- メダル王に持っていくと褒美がもらえる「ちいさなメダル」は、主人公たちが持っているメダルとアイテムを交換する(交換するとその分のメダルがなくなる)方式であった『ドラゴンクエストIV』『V』とは異なり、集めたメダルの累計が一定枚数に達することにより新たなアイテムがもらえる方式となっている。以降発売される本編作品でもリメイク版『V』以外は同様の方式となる。
(ドラゴンクエストVI 幻の大地:::Wikipediaより引用)