主人公とその仲間がパーティ(集団)を組んで、世界を冒険する。パーティの人数は、第1作は1人、『II』は最大3人、『III』『VII』『VIII』『IX』は最大4人である。『IV』『V』『VI』では移動手段として「馬車」を連れており、最大で10人ないし8人のパーティを組むことができるが、戦闘に参加できる上限人数は3人または4人である。
最終的には世界を脅かす敵の親玉(作品によって呼称が異なるが、「魔王」と呼ばれることが多い)と決戦することになるが、そこに至るまでの物語は各作品ごとに全く異なったものとなっている。
□主人公について
ドラゴンクエストシリーズでは、主人公は「プレイヤーの分身」という位置づけとなっている。このため、主人公にデフォルトの名前設定は存在せず、名前はゲーム開始時にプレイヤー自身が自分で付ける。
『III』『IV』『IX』では性別も選択できるほか、『IX』では外見なども詳細に設定できるようになった。また、『I』のエンディング直前など少しの例外を除いて主人公の話すセリフは「はい」「いいえ」以外登場しない。
□ステータスと成長システム
敵を倒すことによって得られる経験値(Ex)が一定値に達することによってキャラクターのレベル(Lv)が1段階上昇し、それと同時にキャラクターのステータス(強さを表す数値)も何ポイントか上昇する。
また、レベルアップによって呪文や特技を新たに覚える場合もある。得られる経験値は基本的に強い敵ほど多く、主人公側のレベルの数値が高くなるほどレベルアップに必要な経験値も多くなっていく。
このほか、『VI』『VII』の「職業熟練度」や『VIII』『IX』の「スキル」など、作品独特の成長システムもある。
□ステータス
キャラクターのステータスには主に以下のようなものがある。これらのステータスはレベルアップ時だけでなく、種や木の実などのアイテムの使用によって上昇させることもできる。
- HP(ヒットポイント)
- キャラクターの生命力。ダメージを受けると減っていき、0になることは戦闘不能となりそのキャラクターの死を意味する。宿屋などに泊まることによって最大値まで回復できるほか、呪文やアイテムによって回復させることもできる。現在のHPの最大値を「さいだいHP」という。
- MP(マジックパワー)
- キャラクターの魔力。呪文を唱えることで、その分のMPが減る。宿屋などに泊まることによって最大値まで回復できるほか、アイテムによって回復させることもできる。現在のMPの最大値を「さいだいMP」という。
- ちから
- 武器を何も装備していないときの攻撃力。
- すばやさ
- この値が高いほど、戦闘のターン内で先手を取れる確率が高くなる。下記の「みのまもり」が存在しない作品ではこの値の半分が防具を何も装備していないときの守備力となる。
- みのまもり
- 『V』以降とリメイク版『I・II』、DS版『IV』における、防具を何も装備していないときの守備力。
- こうげき力(攻撃力)
- 武器による攻撃の威力の大きさ。この値が高いほど敵に与えるダメージが大きくなる。「ちから」に武器の攻撃力を加算した数値。
- しゅび力(守備力)
- キャラクターの頑丈さ。この値が高いほど敵から受けるダメージが小さくなる。「すばやさ」の半分または「みのまもり」の値に、装備している防具の守備力の合計を加算した数値。
このほか、「かしこさ」のように作品ごとに役割の異なるステータスや、「たいりょく」、「うんのよさ」、「かっこよさ」といった一部の作品にのみ登場するステータスがある。
□ステータス異常
モンスターの攻撃などによって、主人公たちが以下のような異常な状態に陥る場合がある。逆に敵に対して状態異常を起こさせることも可能。
- 死(「しに」)
- HPが0になった状態。いわゆる戦闘不能状態で一切の行動ができなくなり、全員が死亡すると全滅となる。移動中は死んでいるキャラクターは棺桶の姿で表される。『V』では、死と似ているが戦闘終了後にHPが1になって復活する「気絶」という状態もある。
- 毒(「どく」)
- 戦闘中に限っては影響は何も無いが、戦闘終了後、数歩歩くごとにHPが徐々に減っていく。
- 猛毒(「もうどく」)
- 通常の毒の症状に加えて、戦闘中にも1ターンごとにダメージを受ける。戦闘終了後は普通の毒になる。
- 麻痺(「マヒ」)
- 一切の行動ができなくなる。作品によっては戦闘終了後も残る場合があり、その場合は歩いていると自然に回復する。また作品によって戦闘中の自然回復がある場合と無い場合があり、自然回復がない作品の場合、生きているメンバー全員が麻痺すると全滅扱いとなる。
- 混乱(「らん」「こんらん」)
- コマンドどおりの行動をせず、味方に対して攻撃をしたり、意味不明の行動をとったりする。
- 眠り(「ねる」「ねている」「ねむり」)
- 眠ってしまい行動ができない状態。戦闘中に自然回復することもあるが、打撃攻撃を受けると目を覚ますこともある。
- 呪い(「のろい」)
- 呪いのかかったアイテムを装備した状態。装備者や味方にとって不利な状況となるが、アイテムによって症状は異なる。『V』『VIII』では敵によって呪いをかけられることがある。
- マヌーサ(「マヌ」「マヌーサ」)
- 幻に包まれた状態。通常攻撃の命中率が低下する。
- マホトーン(「マホ」「マホトン」「マホトーン」)
- 呪文が封じられた状態。
- 一回休み(「やすみ」)
- そのターンのみ行動ができない状態。
□呪文・特技
呪文を唱えることで様々な魔法の力を行使できる。使用の際にはMPを消費し、使用することによって敵へのダメージ、味方の回復、瞬間移動など様々な効果が現れる。攻撃呪文・攻撃補助呪文・補助呪文・回復呪文・移動中専用の呪文などに分類され、『III』以降の作品では系統別に整理されている。
特技とは、炎や吹雪を吐く、踊りを踊る、特殊な剣技や武術などといった、呪文以外の特殊行動の事を指す。特技には、MPを消費するものと、MPを消費せずに使用できるものとがある(作品によっても異なる)。
□移動
移動画面では、主人公たちを動かし、目的地へと移動する。移動の途中にコマンドウィンドウを開くことにより、人と「はなす」、足元や目の前のものを「しらべる」、「どうぐ」(アイテム)や「じゅもん」(呪文)を使用する、「つよさ」でステータスを見る、「さくせん」で作戦や設定を変更する、などといったことができる。「はなす」「しらべる」に関してはスーパーファミコン以降の作品ではボタンひとつで可能となっている(べんりボタン)。
マップによっては移動中に敵モンスターとの戦闘が発生することがある。『VIII』までの作品では、一部の例外を除き、移動画面で敵の姿が見えず、移動中に突然戦闘が始まる「ランダムエンカウント」システムである。『モンスターズジョーカー』や『IX』ではマップ上を徘徊するモンスターに接触すると戦闘が始まる「シンボルエンカウント」システムを採用している。
主人公たちが移動する空間(マップ)は、世界地図の形をした「フィールドマップ」と、城・町・村・ほこら、ダンジョンとに分けられる。
□フィールドマップ
その作品の世界全体のマップ。町やダンジョンなどが点在する。町から町へ、あるいは町からダンジョンへ移動するときなどには、このフィールドマップを利用することとなる。『III』以降の作品では複数のフィールドマップが存在することが多い。
フィールドは敵モンスターがうろついており、モンスターに遭遇すると戦闘が発生する。船や魔法のじゅうたんなどの乗り物を利用することによって通常は移動できない水上を移動したり、空を飛んだりすることもできる。時間の流れの概念がある作品では、フィールド上を進んでいると時間が昼から夜へ、夜から昼へと移り変わる。
- 城・町・村
- 数人〜数十人の人々が暮らしており、それらの人々から話を聞くことができる。店などの施設も揃っている。タンスや壷などからアイテム収集をすることもできる。廃墟である場合を除き、敵モンスターはイベント以外では出現しない。
- ほこら(祠)、一軒家など
- 町などよりも小規模な場所で、人間が1人〜数人住んでいたり、あるいは遠くの場所へ一瞬で移動できる「旅の扉」や、アイテムだけがあったりする。
- ダンジョン
- 主に洞窟や塔などの迷宮を指す。たいてい、その周辺のフィールドマップよりも若干強い敵モンスターが出現する。内部にはアイテムや金の入った宝箱が置かれていることが多く、落とし穴などの罠や、パズルのような謎解きの仕掛けが用意されているダンジョンもある。最深部には重要アイテムがあったり、ボスモンスターが待ち構えていたりすることもある。
□戦闘
プレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの戦闘は、「ターン」とよばれる区切りの中で、自軍・敵軍の各キャラクターが一回ずつ行動していく(中には複数回連続行動するキャラクターもいる)、いわゆるターン制。第1作は1対1、それ以外の作品では敵側・プレイヤー側とも1体から複数のキャラクターが参加する。
プレイヤーキャラクターの行動は、基本的に、コマンド選択により命令を与えることによって決定する。プレイヤー側全員の行動が決定した時点で、1 ターンが始まり、そして敵かプレイヤー側のどちらかが全滅するまでターンが繰り返される。敵を全員倒せば勝利となり、倒した敵の分の経験値と貨幣が得られる。プレイヤーキャラクターが全員倒されれば全滅となり、所持金が半分となり前回セーブした場所に戻される(ゲームオーバーとはならない)。ただし全滅の扱いについては例外があり、一部の全滅イベント戦闘の場合はそのままイベントが進行し(所持金が半分になるかはイベントによる)、『V』の序盤などでは主人公が倒された時点で全滅扱いとされる場合がある。また、敵から逃げることに成功した場合も戦闘終了となるが、この場合は何も得られない。
複数扱いが始まった『II』以降、敵キャラクターの数を表示するようになっているが、その助数詞は「ひき」ないし「匹」である。これは敵がボスキャラクターであろうが、例え人間キャラであろうが例外ではない。
『IV』以降の作品では、主人公を除くキャラクターにあらかじめ「作戦」を与えておくことにより、コンピュータがAI(人工知能)によって各自の行動を自動的に決定する。オリジナル版の『IV』『V』『VI』ではパーティ全体に、『VII』『VIII』『IX』および『IV』『V』のリメイク版ではキャラクターごとに設定する。
本シリーズの戦闘画面は、『VII』以前では、画面内にプレイヤーキャラクターの姿は映らず、現れた敵キャラクターの姿のみが映し出される。ただし、『VIII』以降では3D化に伴いプレイヤーキャラクターの姿も映し出されるようになった。
□貨幣
貨幣単位は「ゴールド」と呼ばれる。記号は「G」。パーティー全体で共用する。敵を倒すことによって得られるほか、宝箱や壷などから得られたり、イベントでもらえたりすることもある。
□アイテム
アイテム(道具)は、主に店でゴールドを払って買う、宝箱や壷・箪笥・足元を調べる、戦闘に勝利したときに敵の落とした宝箱から、などの方法で入手することができる。入手するとパーティのキャラクターの持ち物(または「ふくろ」)にそのアイテムが加わる。また、不要になったアイテムは、店で売ってゴールドに変えるか、「すてる」コマンドでその場に捨てるといった方法で手放すことができる。ただし一部の重要アイテム、呪いの武器防具を装備して呪われている場合はこれらの方法で手放すことはできない。
本シリーズに登場するアイテムは、主に次のように分類される。ゲーム内ではいずれも「道具」として総称される。
■装備品
キャラクターが装備することによって能力値が上がるもの。装備しないと効果が現れない。装備可能なアイテムはキャラクターごとに定められている。能力の上昇幅はアイテムによって異なり、終盤に手に入るものほど威力の大きいものが多い。装備品の中には「つかう」ことによって特殊な効力を発揮するものもあるほか、ストーリーの進行に必須なものもある。
- 武器
- 敵モンスターに対して攻撃するためのアイテム。装備すると攻撃力が上昇する。『V』以降の作品では、ムチやブーメランなどは複数の敵を一度に攻撃できるようになった。
- 防具
- 敵からの攻撃によるダメージを少なくするためのアイテム。装備すると守備力が上昇する。胴体に身につける鎧、片手に持って敵の攻撃から身を守る盾、頭部に身につける兜(第1作には登場しない)の3種類に分けられ、1種類ごとそれぞれ1つずつ装備することができる。『IX』では「鎧」の名称を上半身に、「兜」を頭にそれぞれ変更、新たに腕、下半身、足を新設した。
- 装飾品(アクセサリー)
- 装備することができるアイテムのうち、武器にも防具にも分類されないもの。装備していると特殊な効果が現れたり、ステータスが一定量上昇したりする。『V』まででは1人がいくつでも装備できたが、『VI』以降とリメイク版『III』『IV』では1人につき1つしか装備できない。
■装備することができないもの
以下に挙げるものは主に「つかう」ことによって威力を発揮するアイテムである。
- 道具
- 狭義の「道具」とは「やくそう」「どくけしそう」などの回復アイテムや、「キメラのつばさ」などの移動中に使用するアイテムなどを指す。一度使うとなくなってしまうものが多い。
- だいじなもの
- いわゆるキーアイテム。ストーリーの進行に欠かせないアイテムである。店に売ったり捨てたりすることができないものが多い。